内検の仕方
ミツバチの飼育法というのは、ミツバチの生態や習性に沿ったミツバチの扱い方と言えます。蜂たちを良く観察していると、ミツバチのことが分かってきます。ミツバチのことはミツバチに聞くことが大切です。
1)作業時の立ち位置は、太陽の光を背にして、巣箱の横です。巣箱の前は蜂たちの飛行の邪魔に
なりますし、作業しにくいです。後側も同じく作業しにくいです。太陽を背にすると巣碑枠を
引き出して点検するときに陽の光が巣房内に入り卵が良く見えます。
2)ハイブツールを、巣箱の蓋とその下にある横桟の間にいれ軽くこじります。すると、ヤニで
くっ付いていた蓋が手で開けられるようになります。
蓋を開ける前に蓋上部をこんこんと叩くと書いてある養蜂書がありますが、日本蜜蜂の場合こ
れをすると、敵が来たと思い、巣箱上部にいた蜂たちは下部に逃げ込みます。蓋を開けた時、
薫煙等が全く不要になります。
西洋ミツバチの場合それは意味ありません。西洋ミツバチは蓋を叩けば、下に避難するどころ
か、余計騒ぎ立ちます。西洋ミツバチの場合は、とにかく静かに、優しく作業開始することで
す。振動が一番禁物です。
3)蓋を開けたら、蓋内側に日が当たるように裏返して日当たりの良い所に置きます。巣箱内は湿度が高く、蓋内側は濡れていることが多いからです。内検中に乾燥させてしまうのが良いです。蓋内側に蜂たちが付いていることがありますが、そのままでOKです。飛び立った蜂は巣門から巣箱に戻ります。
4)蓋を開けると、巣碑枠の上に麻の覆いが置いてあると思いますが、その状態で軽く薫煙しま
す。燻煙器では、麻袋の切れ端をいぶすのが良いですが、作業前にもくもくと煙が立つようにしておいて、作業時には、軽くふわ~ふわ~と発煙します。煙の熱さを事前に確認しておきます。15cm位離して燻煙して、生暖かい程度の煙が良いです。熱いのは禁物です。
5)麻覆いをはがします。静かに、そっと。
6)2度目の薫煙をします。軽くふわ~ふわ~と。巣箱からはみ出ようとする蜂たちや巣脾枠の耳
部分にいる蜂たちを下に避難させます。煙は強くかける必要はまったくありません。軽くふわ~ふわ~と。これが大切です。そして、蜂たちの避難を待ちます。煙をかけ続ける必要はありません。蜂たちは煙が来た反対方向に避難します。煙はサインです。飼育者の言葉です。”静かにしてね””下に行ってね”のようです。大声は不要なのです。だから、軽くふわ~ふわ~とで良いのです。
7) 蜂たちが静かになり、下に避難したら、ヤニで動かななっている巣脾枠をハイブツール等でこ
じり、垂直に引き上げます。巣箱いっぱいに巣碑枠がある場合は、外側から2枚目を最初に引
き上げるのが良いです。1番外側は巣箱板と蜜ろうのブリッジでつながっていることが多く、
蜂たちをつぶし易いからです。いっぱいでない場合は、一番外側から抜き出せます。その場合
は片方の巣脾枠の耳を余白部分にずらし、対角線上で引き上げると、蜂たちをつぶすことが少
なくなくなります。
8)巣脾枠を目の高さまで上げます。太陽の光を背にした位置にいますから。巣房の中まで良く見
えます。