ミツバチが到着したら


 

待ちに待ったミツバチがとうとう到着しました。宅配業者もミツバチが生き物なので、最短時間で、しかも慎重に丁寧に配達してくれたはずです。巣箱がごうごうとうなり声を上げています。巣箱内の温度調整のための旋風音と巣箱が密閉されているための騒ぎ音です。しかし、もう大丈夫です。2日、あるいは3日の輸送でしたが、無事到着しました。生きています。ミツバチ飼育がいよいよ現実のものとなりました!

 

1)ミツバチが到着したら、まず、後ろ側のあみ窓のふたを上げて、釘やビスで止めてください。

 

2)つぎに、巣箱設置場所に安置し、燻煙器で煙を軽くかけながら、前側の網窓のふたをあげてく

  ださい。すると、巣門が現れます。到着したら、とにかく巣門は早く開けてあげてください。

 

3)巣門を開けると、ハチ達は環境が変わったことに気付き、巣箱の位置を覚えるため、巣箱の方

  を向いて、近く遠くを繰り返してホバーリングをします。

 

4)1時間もすると、もう、花蜜や花粉を集めはじめます。

 

5)2~3日たってから最初の内検をします。

 

種蜂業者によっては、一時間~一晩安置しておいてから巣門を開けるように指導しているところがありますが、明治~昭和初期の養蜂書と当時の状況はそうでした。荷車などで砂利道をがたがた運搬したため、振動で蜂が騒ぎ立っていましたから、振動による騒ぎを落ち着かせる必要がありました。現代の運搬は当時のような状況ではありませんので、ミツバチが到着したら、とにかく出来るだけ早く網窓を閉め、巣門を開けるのが良いです。その理由は以下のようです。

 

輸送のため2~3日間、巣門が閉まっています。これは、蜂たちにとっては住みかの異常事態なのです。蜂たちは巣門(出口)を探し回り、巣箱内は大騒ぎとなっています。振動による騒ぎではなく、巣箱の密閉による騒ぎです。外が暗くなれば治まりますが、昼間ですと安置しておいても騒ぎは治まりません。外役蜂の活動が妨げられているのですから、蜂たちは大変なストレスと不安感を強いられているのです。外役蜂が騒げば、内役蜂たちも騒ぎます。巣箱内が大騒動になっています。ですから、到着したら、とにかく出来るだけ早く後ろの網窓を閉め巣箱内を暗くしてあげ、巣門を開けるのが良いです。輸送中閉じていた巣門を開けることを ”巣門を切る” と言いますが、密閉状態を解除すると、騒ぎはたちまち治まります。

 

 

最初の内検について

 

ミツバチが到着したら、すぐにでも巣箱を開けて見てみたい・・・というのは当然ですが、2~3日待って!! というのは以下のような理由からです。

 

ミツバチは運搬のため、一晩、所によっては2~3日間、異常事態、異常環境下に置かれていました。そのため、生活が乱れています。具体的には、王蜂は産卵を止め、働き蜂は巣盛りを止め、蜜の濃縮を止め、乳を分泌せず、外役蜂と内役蜂の作業連携も崩れています。運搬してきたミツバチを元の通常の生活に早く戻してあげることが先決なのです。

 

ですから最初の内検は2~3日、じっと待ってください。移動して来て、直ぐに蓋を開け、内検や、巣礎枠や空巣碑の追加、その他の作業を急いで行うと、その後のミツバチの成育が悪くなります。疲労困ぱいしているミツバチに、さらに異常事態や重労働を強いるのですから・・・。

 

2~3日すると、蜂群は完全にその地に適応し、生活も立ち直ります。王蜂は産卵を始め、働き蜂はそれぞれの役割に専念しています。巣門前には、移動中に死んだ蜂が運び出されます。巣箱内の掃除も進んでいるのです。もう、内検OKです。ミツバチ主体に物事を考え、行動するのがミツバチ飼育の秘訣です。